シンデレラガールズ総選挙におけるQuadratic Votingの可能性

はじめに

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今年もシンデレラガールズ総選挙が行われている。前年に引き続きボイスアイドルオーディションとの併設開催となったがこんなことを思ったことはないだろうか?


「なぜシンデレラガールズ総選挙にしか興味がない重課金の方がボイスアイドルオーディションに真剣な微課金勢よりボイスアイドルオーディションに強い影響力を持っているのだろう」(あるいは逆)


もちろんお金を払った方が強い影響力を持つこと自体は不思議ではないが、ここで問題となるのは「シンデレラガールズ総選挙とボイスアイドルオーディションの投票券がセット販売されている」という点である。
どちらの投票にも真剣に向き合っている人がいることは承知しているが、票交換が多く行われていることから片方にしか興味がない人も多いことがうかがえる。




ここで私が提案したいのはシンデレラガールズ総選挙とボイスアイドルオーディションにおけるQuadratic Votingの導入である。





Quadratic Votingとは


www.world-economic-review.jp
Quadratic Votingは台湾のオードリー・タン氏が実際に利用したことで聞いたことがある人もいるかもしれないが簡単に今回の提案に合わせて説明すると以下のようなルールになる。


有権者シンデレラガールズ総選挙にもボイスアイドルオーディションにも使える共通の投票券を持つ。(獲得方法は従来通り)
有権者はn票投票するためにn^2枚の投票券が必要となる


投票券の枚数がそのまま投票できる票数に繋がらないという点が特徴的な投票ルールだ。(これがQuadraticという名前の由縁になっている。)



どのように変わるのか


例えば重課金勢の行動を考えよう。1日目に15000枚の投票券を買った場合、最大で122票投票でき、116枚の投票券があまる。(122^2=14884)
122票から123票にするためには追加で245枚の投票券が必要なためイベントなどで後129枚の投票券を稼がなければいけない。


ここでイベントなどで200枚の投票券を手に入れたとしよう。
担当に123票投票した後、71枚の投票券があまる。71枚の投票券をどうするかの選択肢は広い。
例えば71名のアイドルに1票ずつ投票することも出来れば、1人のアイドルに8票、別のアイドルに2票、他3人のアイドルに1票ずつといった投票も出来る。


もちろん票交換も出来るが現行のルールと比較すると票交換の影響力が小さくなっていることが分かるだろう。(現行のルールでは最大150票が票交換で投票されていた)



投票券をバラバラに売るだけではダメなのか?


こう思った方もいるだろう。票交換の影響力を下げるんだったら単純に投票券をバラバラに売ればいいだけでは?と。
結論から言えば投票券をバラバラに売る行為は金票における票交換の影響力を下げるだけであり、イベントなどで稼いだ票における票交換の影響力は現状のままとなる。
イベントやログインボーナスで2種類の投票券が手に入る限り、それらの票交換による影響は抑えられない。




票のあまり


共通の投票券1枚につき1票投票できる形にすればいいという考え方もあると思われる。


なぜ票数の二乗の投票券が必要かというのは
Liberal Radicalism: Can Quadratic Voting Be the Perfect Voting System? | by Nebulas | Nebulasio | Medium
などを参照して欲しいが、個人的には票があまることに意味があると思っている。


余った票を票交換する場合はあまり意味がない気がするが、例えば上の例であげたように71枚の投票券の投票先を全て票交換するのはかなり面倒くさいだろう。


そうなると余った1枚の投票券で気になるアイドルに投票してみようか。といった行動がとられることが予想される。
たかが1票ではあるが上の例で1票追加するのに245枚の投票券が必要な場合があったことから分かるように通常の投票の1票より大きな影響を持ちやすい。


こういった票交換ではない個人の判断に基づく投票が行われることは結果として担当Pがどれだけ札束で殴ったかではなく、どれだけ多くの人に支持されたかが反映されやすくなると考えられる。




おわりに


今回紹介したQuadratic Votingに関する詳しい説明などは「ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀」を読むのが分かりやすい。


Quadratic Voting以外にもMajority Judgementなど経済学の知見を用いて社会を変革する方法が色々と紹介されているため面白いと思う。




感想

正直この提案が受け入れられる可能性なんて0だと思っているし、ぶっちゃけこの記事に何の意味もないのですが私は投票ルールの話は「多くの人に知られる」ということに意味があると思っています。
ルールの変更や導入は一部の偉い人がすることなので、そういった人たちだけが投票ルールに関する知識を持っていればいいという考え方もあるのですが、私は反対で「多くの人が単純多数決以外の投票ルールを知る」ということが実際に様々な投票ルールが導入されることに繋がるのではないかなと思っています。
サークルで何かを決めるときにボルダルールやMajority Judgementを利用してみるといった小さなところから投票ルールの理解が広がることで、将来的に大きな制度が変化することに繋がる可能性を感じています。
(全然知らないけど凄いらしいルールより身近なルールの方が導入の抵抗が少ないと思うので)