はじめに
ミリオン5thライブ以降オリメン歌唱問題が話題になっている。自分は琴葉Pゆえにあまり語ることはない(ジレハをオリメンで歌っているため)のだが、界隈内で問題になっているのを見て自分の専門である経済学的見地から何か分析をすることができないかと考え、今回の記事を執筆している。
今回の問題は簡単に言えば楽曲とメンバーのマッチングの問題といえよう。
マッチングは経済学においてはミクロ経済学の一分野として存在しており、その研究成果は研修医マッチングや臓器移植マッチングなどで利用されている。
今回は楽曲とメンバーのマッチングを片側マッチング・両側マッチングの2つの可能性から分析する。
両側マッチング(Two-sided matching)
まずは両側マッチングについて考える。両側マッチングとはマッチさせる2つのグループ(今回で言えばメンバーと楽曲)のどちらにも選好(preference)が存在するという前提に基づくマッチングである。
通常は男女のマッチングなどが例にあげられ、現実の研修医マッチング(研修医は病院に対する選好があり、病院も研修医に対する選好が存在する)などで利用されている。
選好が存在するとは各楽曲は曲毎にどのメンバーが合うかを順序付けすることができ、反対に各メンバーにどの曲が合うかも順序付けすることができるということである。
両側マッチングにおいて求められるマッチング結果の条件は
• 個人合理性(Individual Rationality):全ての楽曲・メンバーに関してマッチング結果は誰にも歌われない・何も歌わないよりも好まれる。
• 安定性(Stability):個人合理性を満たし、楽曲とメンバーの組み合わせとしてマッチング結果よりもお互いに高い順序をつけている組み合わせが存在しない。
• パレート効率性(Pareto efficiency):マッチング結果として他に誰か一人(一曲)にとって厳密に現在のマッチング結果よりも良く、他のメンバー(楽曲)にとって現在のマッチング結果と同じか良いものはない。
となる。
ここで選好を考えた時にオリメンの方が他のメンバーよりも高い順序、持ち歌の方が他の曲よりも高い順序になることに異論はないと思われるが、その時オリメン以外で歌うマッチングは安定性を満たさない。
それでは例として5th1日目の楽曲とメンバーを考えてみる。
5thで歌われた楽曲と歌ったメンバー一覧
Eternal Harmony(村川梨衣、平山笑美、阿部里果、麻倉もも、雨宮天)
Sentimental Venus(原嶋あかり、渡部恵子、小笠原早紀、高橋未奈美)
Marionetteは眠らない(山崎はるか、郁原ゆう、末柄里恵、木戸衣吹、中村温姫)
星屑のシンフォニア(渡部恵子、木戸衣吹、近藤唯、南早紀、戸田めぐみ)
ココロがかえる場所(戸田めぐみ、郁原ゆう、香里有佐、近藤唯)
Birth of Color(山崎はるか、伊藤美来、中村温姫、麻倉もも、小笠原早紀)
この時、エタハモはオリメンのゆうちゃとすーじーを他のメンバーよりも高く順序付けし、ゆうちゃとすーじーもエタハモをMarionette・ココロがかえる場所よりも高く順序付けするため安定性を満たさない。
またこの時、Marionetteは眠らないはぴらみさんをゆうちゃ・すーじーより高く順序付けしているため、ぴらみさんとゆうちゃ or すーじーの交代はパレート改善となる。よって上記のマッチングはパレート効率性も満たさない。
このようにオリメン以外で歌うセトリは安定性とパレート効率性を満たさないため不満が出やすくなることが経済学的に証明された。
片側マッチング(One-sided matching)
続いて片側マッチングについて考える。片側マッチングはマッチさせる2つのグループの片方にしか選好がないという前提となる。通常は部屋の割り当てなどが例に挙げられ、現実の臓器移植(患者は臓器に対する選好が存在するが、臓器に選好はない)などで利用されている。今回は「アイマスに持ち曲という概念はない」という前提のもと、各メンバーは持ち歌を好むが楽曲はメンバーに対しての選好を持たないとする。
片側マッチングでは初期の割り当てが存在するという前提のもとで
• 個人合理性(Individual Rationality):全てのメンバーは少なくとも最初に割り当てられた楽曲よりも好きな楽曲か同じ楽曲を歌う。
• パレート効率性(Pareto efficiency):マッチング結果として他に誰か一人にとって厳密に現在のマッチング結果よりも良く、他のメンバーにとって現在のマッチング結果と同じか良いものはない。
の2つが求められるマッチングの条件となる。
この時も両側マッチングで示したようにパレート効率性を満たしていないためオリメン以外で歌うセトリは望ましいマッチング結果とならない。
結論
以上のようにオリメン以外で歌わせるセトリのマッチングは経済学的に望ましいマッチングにはならず、それが不満を生んでいると考えられる。
正直、当たり前のことを言っているだけだと思われるだろうが感情的に当たり前なことを数学的に説明できたということに意味がある。
オリメン以外歌うなという過激派でなくとも、オリメンの方が良いよね、持ち曲を歌ってほしいよねという条件だけでもマッチング結果が望ましくないことを証明できることは面白いと感じた。
個人的には与えられたセトリに対して文句をつけたところで何も変わらないので受け入れて楽しむことが効用最大化だと思うのだが文句を言いたい人たちの気持ちも理解はできるので何とも言えない。
1年ぶりのはてなブログの更新(個人サイトを閉鎖したため)で何をやってるんだと言う気持ちになったが思いついたからには書かざるを得なかったので仕方ない。