前書き
せっかくブログを始めたので先日学校の授業で書いた「「THE IDOLM@STER」「ラブライブ!」「アイカツ!」から考えるアイドルアニメの人気の理由」というレポートの内容を再構築してみようと思う。
アイドルとは?
前回と同じようにとりあえず「アイドル」を広辞苑でひいてみると
①偶像。崇拝される人やモノ。②心酔の対象者。人気者
だそうだ。
それではアイドルに必要な要素を考えてみると楽曲、楽曲に合わせたパフォーマンス、歌以外の俳優業やバラエティの仕事などがアイドルに共通する要素としてあげられると思う。
アイドルとアイドルアニメ
それでは先にあげた3つの要素について考えていく。
楽曲
今までの他のアニメはオープニングとエンディングでしか音楽が物語に入り込んでくるということはなかった*1。
ところがアイドルアニメはそのアイドルといったテーマの性質上、キャラクターごとに持ち歌などが存在しそれらが物語上で流れて意味を持つといった事が生まれるようになった。
これはアニメの入り口として楽曲から入るという新しい入り口を生み出し人気を博す原因の一つとなったと考えられる。
楽曲は声優が歌う場合と歌手が代わりに歌う場合があるが、昨今のアイドル声優というジャンルの発展に合わせて声優の歌唱力が重視されるようになってきており、それらを活かす場としてのアイドルアニメも発展してきたと考えることもできる。
楽曲に合わせたパフォーマンス
アニメーションはもちろん絵の連続のためダンスなどの激しい動きをアニメにすることは難しく制作側への負担が大きかった。
しかし、近年の3DCG技術の発展により作成したポリゴンモデルを踊らせることにより作画の必要なしにダンスシーンをアニメーションで流すことが出来るようになった。(もちろん3Dだから簡単というわけではないことは百も承知であるがMMDなどの発展により一般人でもより簡単にダンスシーンの動画などを作ることが出来るようになったことは事実である)*2
また先ほども上げたアイドル声優たちが実際にライブパフォーマンスを行うということにより、アニメだけではなくイベントを通してファンの心をつかむことが出来るようになったのも大きいと考えられる。*3
俳優業やバラエティの仕事
これらの多様な仕事の存在は多人数が出てくることの多いアイドルアニメでのキャラクターの個性を表すのに最適である。
例えばこのキャラクターは演技が上手い俳優に近いキャラクター*4、このキャラクターは歌が上手い歌手に近いキャラクター*5などとキャラクター作りにアイドルの仕事の多様さが活かされているのである。
アイドルアニメの比較
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原作 |
雑誌上のユーザー参加企画 |
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メインファン層 |
大人 |
中高生 |
小学女児 |
主人公たちの環境 |
芸能事務所 |
学校 |
アイドル養成学校 |
ファンの呼称 |
プロデューサー |
ストーリー性と主人公たちの環境
アイマスは舞台が芸能界であるため学年などの設定はなく、もともとの媒体がゲームで何週もプレイして何回もストーリーを繰り返すといった事が行われていたため、卒業や引退といった終わりに関しては触れずにこれからも続いていく物語としてアニメは描かれた。*8
それに対してラブライブは舞台が完全に学校であり部活としてのアイドルといった要素が大きかったためアニメ内でも卒業という形での一種のアイドルの終わりが描かれている。
アイカツ!に関してはアイドル養成学校という立場上、学年が上がっていき主人公たちがトップアイドルへと成長していく姿が描かれるが、世代交代という形で主人公が変わりかつての主人公たちは目指すべきアイドル像として描かれるといった形で終わりを提示せずに続いている。
ファンの呼称
アイマスはプロデューサー、ラブライブはラブライバー、アイカツはアイカツおじさんとなっている。
ここで大事なのはアイマスではプロデューサーすなわちアイドルをプロデュースする存在であり、ファンたちもアイマス世界の一部として存在しているが、ラブライブ・アイカツはラブライブの好きな人としてのラブライバー、アイカツが好きな人としてのアイカツおじさんとしてそれらの作品のファンであり作品世界とは別の世界の存在として呼称されている点である。
これは第4の壁の問題として考えられるが期限を辿ればアイマスは自身がプロデューサーとなってアイドルをプロデュースするというゲームだったのに対して、ラブライブ・アイカツはアイドルの成長を見守るアニメやアイドルとしてセルフプロデュースを行うゲームだったということであろう。
アイドルアニメの魅力
「終わり」の存在
現実のアイドルには引退という明確な終わりがあり、引退はしなくても年齢を重ねていくことで老いという形で限界を迎える。
それに対してアイドルアニメのアイドルたちは何年たっても老いることもなく若い姿でアイドルとしてあり続ける。
これはアイドルアニメの1つの魅力であろう。
アイマス・アイカツ!では世代交代としてそれまでのキャラクターがトップアイドルになった後の世界で、新キャラクターたちが主人公の物語が展開することでコンテンツとして終わることなく続けることに成功している。
ファン層に関してはアイマスがもともと中高生だった人たちが大人になっているという現状から考えて一度ファンになった人が継続してファンでいられるということがアイドルアニメとしての魅力だと考えられる。
これはコンスタントにCDで新曲を発売していくなどのアニメだけで終わらない継続的な活動がアイドルアニメにはあるということが理由だろう。
他のアニメは放映期間のみの人気であり、その人気が続いていくことは少ないがアイドルアニメは声優によるライブなどのイベントやCD発売など様々な方法で展開していくことが出来るためファンもその熱を失わずにいることができる。
第4の壁を超える
現実のアイドルでもAKBは総選挙を行うことでファンがメンバーの選抜に関与することが出来ることで人気になったように、アイドルアニメではアイマスではプロデューサーとしてゲーム内でアイドルをプロデュースでき、ラブライブ!ではユニット名をファンから募集して決定したりし、アイカツ!ではカードを集めてアイドルたちのコーディネートを考えてプロデュースすることが出来るなど、ファンがアイドルたちに何らかの影響を与えることが出来る。
これは現実では手の届かない存在であったアイドルが非常に身近に感じられるという大きな魅力であると考えられる。
他のアニメはあくまでキャラクターたちはアニメの中の世界のキャラクターでありその世界に干渉するということは出来ない。
しかし、アイドルアニメではゲームなど違う媒体になるがキャラクターたちに干渉することが出来、第4の壁を突破して観客自身も舞台の一部となることが出来る。これこそがアイドルアニメの一番の魅力だったのではないだろうか?
あとがき
自分が考えた中で一番納得できると思ったのはアイドルアニメはファンが舞台の一部となっているという考えである。
実際アイマスやラブライブは初期から絶大な人気を博していたわけではなく、現実の地下アイドルのような存在だった時期から支え続けていたファンの存在によって今があるというところがある。
これはファンと一緒に成長していくというアイドルアニメというコンテンツ特有の魅力だと考えた。
ライブでのコールやニコニコ動画の2次創作活動などもファンがただの傍観者ではなくコンテンツの一部として存在する一つの形であり、そのような形でコンテンツに関わることが出来ることがアイドルアニメの最大のポイントなのではないだろうか?
*1:京都アニメーションが制作した「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」シリーズなど、キャラクターごとのキャラクターソングといった商品が発売されることはあったがその楽曲が作品内で意味を持つことは少なかった。「けいおん!」では軽音部が舞台ということで主人公たちのバンドの曲が物語に入ってくることがあったため、アイドルアニメと似たような構造になっていた。
*2:先にあげた3作品の中で「アイカツ!」はライブシーンが全編3DCG、「ラブライブ!」はライブシーンで3DCGと手描き映像の併用、「THE IDOLM@STER」のライブシーンは全編手描きのアニメーションとなっている。当然手描きライブシーンの方が大変なのでアニメ本編におけるライブシーンの量はアイカツ!が最も多く1話につき1回ずつ、THE IDOLM@STERは楽曲の中でもサビのみと差が出ている。とはいえTHE IDOLM@STERの原作は3DCGを利用したゲームでありほぼすべての楽曲に3DCGを利用したダンス映像が用意されているため3DCGの進化がアイドルアニメの進化を促したことに間違いはないと考えられる。
*3:通常のアニメのイベントでは歌よりもトークなどがイベントのメインとされることが多かった。
*5: THE IDOLM@STERの如月千早など。
*6:実際はアニメが先行し、その後アーケードゲームが稼働したが企画上はアーケードゲームが先だったため原作とした。
*7:アイカツおじさんとはアイカツ!プレーヤーの中でも成人男性、つまりメインターゲットである小学女児を除いた存在の事を表すが、今回は他作品のファン呼称との比較のため採用した。
*8:ゲーム版ではエンディングで各キャラクターの引退が描かれたり、アーケードゲームではオーディションに敗北することで引退となるといった事が描かれたりしていた。また、世代交代ではないが新シリーズとしてアイマスで主人公だったアイドルたちがトップアイドルになった後の世界が描かれたTHE IDOLM@STER シンデレラガールズが2015年1月現在放送中である。