有栖川夏葉とシグナリングゲーム

 前書き

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シャニマス1stライブ最高でしたね。そういえばシャニマスで記事を書いたことがないことに気がついたので今回は担当アイドルである有栖川夏葉についてシグナリングゲームを使って考えていきます。

 

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概要

裕福な家庭に生まれた社長令嬢。家名に誇りを持ち、自らもその肩書に恥じぬよう日々鍛錬を積んでいる。スタイルがよく、引き締まっている。大学2年生。

 

公式HP プロフィールより引用

 夏葉と言えば"鍛錬を積んでいる"というプロフィールからも分かるように努力のイメージが強いです。実際に夏葉が日々弛まぬ鍛錬を続けていることで"有栖川夏葉"であることはコミュを通して私たちプロデューサーはよく知っています。

 

しかし現実の世の中は中々難しく夏葉のような存在の努力は見えにくくなってしまっています。これをシグナリングゲームモデルを利用して見ていきます。

 

 

シグナリングゲーム

シグナリングゲームとは不完備情報ゲームと呼ばれる相手の情報がわからない状態でのゲームの一つです。

 

例えばオーディションを考えてみましょう。

 

ご存知の通りアイドルのオーディションではアイドルとしての能力があるかどうかの実技審査でVo,Da,Viの審査が行われます

 

もし、ここで実技審査なしの面接だけでしたらどうなるでしょうか?

受けにくるアイドルは全員「自分、歌も踊りもビジュアルも完璧さー!」といったことを言うでしょう。この場合審査員はその発言が嘘か本当かを見抜くことは不可能になってしまいますね(※Viに関しては面接でも判断できると言う説もあります)

 

このようなことを防ぐために実技審査が行われてアイドルとして優秀かどうかを判断しています。ここでVo,Da,Viアピールシグナルとなります。

つまり審査員にアイドルとして優秀かどうかを伝えるための信号=シグナルです。

このように自分のタイプを証明するためにシグナルが使われることからシグナリングゲームと呼ばれています。

 

具体的にゲームとしてみていきましょう。

例えば実力がAランク以上のアイドルを募集するとします。しかしアイドルのランクは合否が決まった後に番組出演しないと分かりません

審査員はAランク以上のアイドルを採用できたら成功でボーナス10,000円反対にBランク以下のアイドルを間違って採用してしまったら給料が10,000円減額されるとします。

ここで実技審査なしで適当に採用したときにAランク以上である確率が20%だったらどうでしょうか?

審査員の期待収入は0.2×10000-0.8×10000=-6000円となり誰も採用しないほうがましですね。

 

それではアイドルに実技審査を受けてもらうことにします。

アイドルはオーディションに合格できれば賞金100,000円不合格ならその週にバイトしてたら貰えたはずの10,000円分損をするということにします。

ただし実力がAランクのアイドルは実技審査で圧巻のパフォーマンスを簡単に出せますが、Bランク以下のアイドルはオーディション対策で高額なレッスンを受けなければ圧巻のパフォーマンスを出すことができないとします。

 

この時、圧巻のパフォーマンスというシグナルは機能するでしょうか?

・Aランクアイドルは圧巻のパフォーマンスを出せる

・Bランクアイドルは圧巻のパフォーマンスが出せない

・圧巻のパフォーマンスが出たら採用される

・圧巻のパフォーマンスが出せないなら採用されない

といった状態でしたらシグナルとして機能します。これらはPerfect Baysian Equilibriumといった形で分離均衡として出てくるのですが詳しくはきちんとしたゲーム理論の本で勉強してください。例えばレッスン料が安ければBランク以下のアイドルもレッスンを受けて圧巻のパフォーマンスが出せるようになりますが、そうなると最初の実技審査なしの面接と同じようになってしまうので誰も採用されなくなってしまいます

非協力ゲーム理論 (数理経済学叢書)

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シグナリングゲームと夏葉

長々とシグナリングゲームの話をしてきましたが、有栖川夏葉の話です。

ここで自分が問題とするのは例えば上のオーディションゲームで"社長令嬢"の夏葉はレッスンコストがかからずランクに関わらず圧巻のパフォーマンスが出せるようなことがあったらどうなるのか?ということです。

 

上記の均衡では圧巻のパフォーマンスが出せるアイドルなら合格、出せないなら不合格となっているのでランクに関わらず夏葉は合格できます。

しかしこの時、夏葉がAランクだったとしても観察できる情報は「夏葉は社長令嬢」・「夏葉は圧巻のパフォーマンスが出せる」しかないため本当にAランクであることを証明できません。

このように"社長令嬢"などといった良い結果に他人よりアクセスしやすいポジションの人間実力がなくても良い結果にたどり着けてしまうが故に自身の努力や実力を証明することが難しいという逆説的なことが言えます。

 

しかし"有栖川夏葉"は違います。夏葉は"トップアイドル"を目指して日々の鍛錬を続けています。夏葉が目指す"トップアイドル"は"社長令嬢"といった恵まれた立場ゆえに辿り着けるアイドルとしての高みだと言えるでしょう。

 

勤勉な天才に凡人はどうやったら敵うっていうんだ

 

アイシールド21 第11巻 一流の夢より引用

 

 アイシールド21にこんなセリフがありましたが天才でなくとも恵まれた環境にいる人間は恵まれている故に周りの人間の更に一歩上の結果を出さなければその努力を証明することが出来ないというしがらみがあり、それを打ち砕こうというのが"有栖川夏葉"なのかなと思います。

 

後書き

"有栖川夏葉"は自身の立場に胡座をかくことなく高みを目指すというその心意気が本当に尊敬できるアイドルだなと思います。恵まれている故に努力をするということが素晴らしい。

シグナルのコストが一般的な人と比べて低い人間は自身のタイプを証明できないという話は結構前から考えていました。シグナリングゲームではよく学歴と就活の話がされるのですが、自分のような内部進学の高学歴は大学受験をしてない分シグナルとして学歴が機能しないなと感じていた(実際内部の決して賢いとは言い難い人が良い企業行ってますし)のでその話をアイマスに転用したらこんな記事になりました。半分くらいシグナリングゲームの解説になってしまったくせに分離均衡とかの解説をきちんとしてないのでゲーム理論自体の基礎からの解説も記事か同人誌で書きたいなと思ってます。