デレマスにおける声と相対的剥奪

はじめに

 最近はボイスの話ばかりしている気がするが今回はやむを得ない事情がある。はにゃん・にゃん・にゃんの担当Pなのだ

これまでの選挙と声の話はこちら。

viola-voila.hatenablog.com

 

viola-voila.hatenablog.com

 

 

 

相対的剥奪

 「相対的剥奪」という概念がある。もともとは社会学の用語らしい。

定義を見ると

1.AはXを持っていない。

2.A以外の誰かはXを持っている。

3.AはXが欲しい。

4. AはXを持つことが可能であると考えている。

以上の4つの条件を満たす時、AはXに関して相対的に剥奪されているという(Runciman 1966)

となっている。

お分かりの通り、シンデレラガールズのボイスについて完全に当てはまる

つまり

1.AはXを持っていない。→担当に声がついていない。

2.A以外の誰かはXを持っている。→声付きアイドルがいる。

3.AはXが欲しい。→声をつけたい。

4. AはXを持つことが可能であると考えている。→声はつけられる。

ということである。

 

ここから数学的モデルが導かれる。

 

モデルの仮定

N:集団の人数。=シンデレラガールズのアイドル数(183人)。

C:利得を獲得するための挑戦にかかるコスト。=総選挙への投票などプロデュース活動にかかるコスト。

B:利得。=声。

n:利得を獲得する人数。=声付きの人数(77人)。

x:コストCを払う人数。=プロデュースされているアイドルの数(183人)。

 

1.各プレイヤーは利得Bを獲得するためにコストCを払うか払わないかを選択する。

2.コストCを払えば利得Bを獲得する可能性が生まれ、払わなければ利得は獲得できない。

3.各個人は合理的行動により期待利得を最大化する。

 

現状(2018/9/7)ではボイス実装は77人/183人42%となっている。

 

ここで相対的剥奪を考える。

相対的剥奪率は

相対的剥奪率S=\frac{コストを払った人数x-利得Bを獲得した人数n}{集団人数N}

で定義される。

 

投資者数と利益率

シンデレラガールズのアイドルは全員誰かにプロデュースされているので現状ではN=xである。とはいえ数学的に考えると投資者数xはプロデュースのコストが利得(今回は声としているが、声以外の利得もたくさんあることは重々承知である)より小さい時に増え、コストが利得を下回れば減るということで均衡値は投資の期待値が0となる点となるはずである。

ここで均衡値x*を考えると

\frac{n}{x*}B-C=0 ⇔ x*=\frac{B}{C}n

となる。

またコストに対する利得の割合である利益率Rを考えると

利益率R=\frac{B}{C}

となり、上記2式よりx*=Rnとなる。

投資者数が集団の人数と同値になるためには

x*=\frac{B}{C}n=N

となる。

 

現状投資者数は全体の人数と同じと考えられており、現状のボイス実装率が42%ということを代入すると

77R=183 →R=2.38

となる。ここから利益率Rが2.37以上、すなわち総選挙などのプロデュースコストの2.37倍以上プロデュースが成功した時の利得はあると考えられる。

 

プロデュース成功率と例の発言について

さて上記でプロデュースコストの2.37倍プロデュースが成功すると嬉しいとしたが、これはプロデュース成功率が全員等しい場合である。現実はアイドルの担当の数によってプロデュース成功率は異なるため成功率が低い代わりにさらに高い利益率のアイドルも存在すると思われる。

各プレイヤーがコストCを払って行動するかどうかに関しては成功率をpとすると

Bp\geq{C}

の時、投資するという選択が合理的となり、それ以外の場合は投資をしないことが合理的となる。

ここで全ては「プロデュースをすれば低確率でもプロデュースの結果が実る」という前提の元にある。

どんなに頑張ってもそのプロデュースの結果は実らない」という状況ではプレイヤーの行動は変わってくる。

モデルで考えれば利得Bがもらえる可能性があるからコストCを払っていたのであり、利得がもらえる確率が0ならそれに対してコストを払っていた人もコストを払うことを止めるであろう。

また、この問題に関しては「短期的に声がつかない」という趣旨だとかの話ではない。短期的に声がつきにくい場合、現在割引価値で将来の利得を割り引いて計算するため現在の利益率は下がり行動も変化する。時間割引率をβ、声がつかない期間の長さをtとすると

β^tB\geq{C}

の時、投資が合理的であり、それ以外で投資をやめる。よって短期であろうと長期であろうと声がつかないという事象は利得構造に影響をもたらし行動に影響を与える。

 

結論

各プレイヤーは利得と成功確率から合理的判断としてコストを払ってゲームをプレイしている。成功確率の前提が崩れた場合、期待利得も変化してプレイヤーの行動が変化する場合もある。

 

感想

例の発言が公式発表ではなく、実際の成功率には関係ないことは重々承知である。とはいえそれを置いておいても我々は利得がもらえるという期待にコストを払っておりそのコストこそがゲームとして成り立つための資金源となっているのである。

その状況下で前提としている成功の可能性が全員にあるという考えを覆すような発言は信じて行動してきたプレイヤーに対してどうかなとは思ってしまった。

別に声をつけるためにプロデュースしてるわけではない。といった意見もあるだろうが、「浮動票」についての分析をしている際に「自分の票が無駄にならないために担当ではないが競っているアイドルに投票する」といった行動をするプロデューサーの存在が確認された。これは結局コストを払うなら何らかの利得が欲しいと考えている人の存在を示しており、コストと利得の釣り合いがとれなくなれば人は行動を変えるということである。

まぁ何が言いたいかといえば文句を言いたい人が出るのは当然であり、不満を漏らしている人を叩くのはどうかと思うというだけである。

 

参考文献

Runciman, W.G. 1966. Relative Deprivation and Social Justice. London: Routledge and Kegan Paul.

浜田宏.2015.「社会を数理で読み解く」:81-114.

社会を数理で読み解く -- 不平等とジレンマの構造

社会を数理で読み解く -- 不平等とジレンマの構造

 

 

 

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